王子と村娘

「やぁ、ツナ。」
「・・・雲雀さん・・・。」
ツナが庭に出て洗濯物を干していると王族のみが着ることを許されている黒い衣装に身を包んだこの国の第二王子である雲雀恭弥が周りの視線もものともせずツナに近寄ってきて、おそらく他の誰にも見せたこともないであろう笑顔を向ける。その笑顔に舞い上がることもなく、ツナは一つ溜息をつく。
「今日もかわいいね。」
そう言ってハニーブラウンの髪に口付ける。そんな気障な行動にも、ツナは呆れたような視線を送る。
「・・・雲雀さん・・・。」
「恭弥、て呼んでって言ってるじゃないか。」
「じゃぁ恭弥さん。俺は何度言われても恭弥さんのところに嫁ぐつもりはありません。リボーンも何考えてるんだか・・・。」
俺は平凡平穏に暮らしたんです。
そう言って空になった洗濯籠を持って家に入ろうとくるりと身を翻せば後ろから抱きしめられる。
「離してください。」
「君がOKしてくれれば。」
「無理です。雲雀さ「恭弥。」恭弥さんだったら他にも美人で素敵な人がいっぱいいるでしょ。なんだって俺みたいな”ダメツナ”がいいんですか。」
結局雲雀を引っ付けたままずるずると家の中に入り、ソファに座らせ紅茶を入れる。
「その辺の草食動物なんかに興味はないよ。君、”ダメツナ”なんて言ってるくせに僕より強いし頭だってキレるじゃないか。それに君、僕の好みにぴったりなんだよ。」
そう言いながら紅茶を一口。ツナは「あー・・・。」とちょっと遠い目。
「でも俺ただの村人Aですよ。身分違いにも程がありますよー。」
どうにかしてこの状況から逃れようと必死で言い訳をしてもやっぱり雲雀はひるまない。
「その辺は君が一番よくわかってるんじゃないか。知ってるよ。君の遠い先祖がこの国の初代国王だって事。」
「・・・ものっそい大昔のことですけどね!」
ちょっとやけくそ。
「それでもだよ。君、『初代の再来』とか言われているらしいじゃないか。」
「誰から聞いたんですかその話!」
「君の家庭教師。」
「リボーンのバカー!」
とりあえず一通り叫んで突っ込み。落ち着いたところですっかりぬるくなった紅茶を一口。
「とにかく!俺は恭弥さんのことは好きです。好きですけど王宮なんてめんどくさいところに行く気はありません!」
「最後のが本音だね。」
「当たり前です。」
ぐいっと残りの紅茶を飲み干す姿なんかはなんだか物凄い漢前だったり。
「まぁ、今日はこのへんで帰るよ。僕は諦めないからね。」
「諦めてください。」
庭から帰っていく(来たときも庭からだったし)雲雀を見送って本日二回目の溜息。

それから。
なんだかんだで外堀から固められていき、結局は王宮に嫁ぐことになっちゃったりするのはもう少し先の話。

雲雀さんは国の第二王子。ちなみに第一王子はディーノさん。腹違いの兄弟(爆)。超仲悪い(一方的に)。雲雀さんは馬鹿な奴らを噛み殺してるほうがいいから跡取り争いとかアウト・オブ・眼中(笑)。ある日、問題を起こした奴やらを噛み殺しに行った先でツナと出会って一目惚れ。ツナの素性とかいろいろ調べた結果血筋も文句なしな上に雲雀の好みどんぴしゃ(強くてかわいい小動物←え)だったので、ちょっとでも暇ができればツナを口説きに通う毎日(笑)。
一方ツナは小さい頃に自分が王家の血をうっすいながらも引いてることを知っちゃって、万が一後継者争いなんてものに巻き込まれるのが嫌で”ダメツナ”を装うけど、実は文武両道なんでもできちゃうスーパーガール(爆)。自分に言いがかりをつけてきた馬鹿な奴をぶちのめしていたところを雲雀さんに見つかっちゃって猛烈アタックを受けてる最中(笑)。
リボーンは家光がツナにつけたボディーガード兼家庭教師。その前はディーノの家庭教師をしていた。
なーんて脳内設定がったりする(笑)。
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