王子と巫女
暗い、灯りは蝋燭の光のみである神殿の礼拝堂で一人、髪に祈りを捧げていた少女は近付いてくる聞き知った足音に一人溜息をついて立ち上がると、同じタイミングで入ってきた人物に向き直る。
「やぁ、巫女姫。いや、私のかわいいルルーシュ。」
「・・・シュナイゼル殿下・・・ここは式典以外は男子禁制です。そして私は殿下のものではありません。」
「だが、いずれは私のものだ。」
そうだろう?
と、いつの間にかそばまでついてきてにっこりと微笑まれれば言い返すこともできない。
「・・・外にはカレンもC.C.も・・・ミレイやアーニャだっていたと思うんですが・・・。」
神殿の警護にあたってるはずの顔なじみな少女達の名を上げれば再びにっこりと微笑まれて。あ、いや予感。と、思ったら案の定。
「彼女達にはちょっと寝てもらってるよ。」
あっさりと返されてしまい、ルルーシュはがっくりと肩を落とす。
「カレン達はともかく・・・よくあおC.C.を突破できましたね・・・。」
ある意味一番の難関で、国中からも『魔女』とまで称されるC.C.。その彼女を突破することは並みの使い手では無理な話だろう。
「私を誰だと思っているんだい?」
「・・・そーでしたね。」
なんかもう、いろいろと諦めモード。
「まぁ、この私でもさすがに今回は苦戦したよ。やはりC.C.がいないときを狙ったほうがいいな。」
「また来る気ですか。」
「当たり前だろう。愛しい我が妻に会いに来て、何がいけない?」
「私はあなたの妻ではありません。」
「だがいずれはそうなる。」
本日二回目(もう会う度に同じやり取り)の言葉を交わし、シュナイゼルはルルーシュの額に口付ける。するとそのタイミングを計ったかのように扉の向こうからバタバタという足音が聴こえてくる。
「おや、もう起きてしまったみたいだ。私はこれで失礼するよ。」
「もう来ないでください。」
「それは私の気分次第だね。」
そう言って身を翻すと、もうそこにはシュナイゼルの姿はなく。そしてバン!と音をたてて四人の少女達が礼拝堂に駆け込んでくる。
「ルルーシュ!あの腹黒はどこへ行った!」
「C.C.、落ち着け。シュナイゼル殿下は帰ったよ。」
「あのクソガキ・・・!今度会ったら八つ裂きにしてやる・・・!」
シュナイゼルを『クソガキ』なんて言えるのはあなただけですよ。
というのはみんな思っていても誰も口には出さない。
「・・・そろそろお茶にしようか。フルーツケーキを焼いたんだ。」
「やった!ルルちゃんのケーキ!」
ケーキと聞いて飛び跳ねるミレイに、そこまでテンションは高くないものの三人とも嬉しそうな表情をする。
それから数日後。再びやってきたシュナイゼルとC.C.の魔術対決が神殿広場で行われていたとかなんとか。
イメージはまるマ(え)。