『沢田綱吉、1分以内に応接室。遅れたり群れたりしたら咬み殺す』

突然の呼び出しは、あの人の得意技だ

ChiamarE


授業中、いつもと変わらず退屈な授業をあの人の事を考えながら聞いていたら、授業の終わりでもないのに、スピーカーからジジ..という音が聞こえた
何だろうと、皆無意識にそちらの方へ意識を向ければ、聞こえてきたのはこの並中で最も知られている、風紀委員長兼並盛の秩序様、ヒバリさんの声
あぁ何かこれはきっと、なんて考えていれば、やっぱりと言っていい程、内容は呼び出し、そして呼び出された人物はオレだ
先生とクラスメートに早く行けよなんて目で見られてわかりましたーって感じで教室を出て行く
毎回ついてくると言う獄寺君と山本はただ今夢の中にダイブしているので今回はすんなりと教室を出れた
少しだけ急ぎ足で、でも前に廊下を走るなと言われたので走らずに応接室に向かう
応接室の扉の前で一呼吸ついて軽くノックすれば、早く入りなよと彼の声
失礼します、と入ると甘い香りが広がっていた
彼の淹れる紅茶の香りも、彼が用意する高級菓子の香りも、オレが入ってくるなりいきなり抱きしめてくる彼の香りも、オレの大好きな香りだ
「綱吉」と彼が甘えたようにオレの名を呼んだ

「1分以内って言ったのに…」
「過ぎましたか?」
「ん、20秒オーバー」
「あははっ…厳しいですね…」
「仕方ないよ、早く君に会いたかったんだから…」

そう言って顔中にキスを落としてくるヒバリさん
彼の首に腕を回せば、最後にオレの口角に親指の腹を当て唇にキスをしてくる
それが深いものか触れるだけなのかはいつもわからないけれども、今回は触れるだけ
紅茶が冷めちゃうからね、と彼が綺麗に微笑んだ

「後で沢山してあげる」
「楽しみに待ってます」

当たり前のようにある黒革張りの高級高級ソファーに腰を下ろしたヒバリさんの膝の上に当たり前のように座らされ、彼に背を預ければ、彼が腰のあたりから手を伸ばし、オレをそっと、その逞しい腕で抱きしめる
「ヒバリさん」と我ながら間抜けすぎるんだろうと自覚している顔で笑いながら言えば、ヒバリさんがオレの髪に顔を埋めて「うん?」と言った

「好きです、大好き!」
「知ってるよ」
「えへへっ、愛してます!」
「ん、僕も、世界で一番、君を愛してる。君しか、愛してないよ…君しか見れない」

何て恥ずかしい台詞を真顔で言えるんだろうと思ったけど、それが雲雀恭弥なのだからと勝手に納得して、彼の淹れた紅茶に手を伸ばす
耳真っ赤だよ、と笑いを堪えて言ってくるヒバリさんに、ヒバリさんのせいですよと言えば、彼が嬉しそうに、そう、と言った
ヒバリさんも自分の分の紅茶に手を伸ばし、二人で優雅にティータイムを楽しんでいた時に、授業の終わりを告げるチャイムが鳴り響く
次の授業が終われば昼休みが始まる、今日はここでお昼も食べる予定だからもしかするとこのまま次の授業もサボれるかもしれないな、と嬉しく思っていると、急に応接室の外が煩くなった
聞き覚えのある声、そして真っ直ぐとこちらへ向かってくる足音、あぁこれはもしかしなくても
ヒバリさんが不機嫌にトンファーを構えて扉の向こうを睨む
次の瞬間、勢いよく開いた扉の向こうに肩で息をしている獄寺君と時雨金時を笑顔で肩に担いでいる山本の姿がそこにあった
「十代目!ご無事ですか!?」と獄寺君の声が応接室に響き渡る
オレとヒバリさんが付き合っているということはもう既に彼らの耳に入っている筈、というか昔教えたのだから、オレがヒバリさんに危害を加えられることがないと知っている筈なのに、この二人は本当に心配性だな、もう少しオレとヒバリさんを信用して欲しいよ、と思っていた時、あの嫌な感じがした
今にも喧嘩を始めそうな獄寺君、山本とヒバリさんが向かい合っている方とは逆の方、応接室の窓から現れたのは、あの独特すぎる髪型に、気持ち悪い笑い方をする、六道骸だ
ここは3階だとか、何で黒曜中のお前がこの時間帯にここにいるのとか、そういうツッコミはコイツには不適切ということはもう既に知っているので言わないけれども、勢いよく窓を割って入ってきた骸に、今まで獄寺君達と対峙していたヒバリさんが、もう獄寺君達には興味がないという風に骸へと視線を向けた
オレなんかでもわかるほどの殺気
ヒバリさんと骸の仲の悪さなんて、並中生全員が知っているほどなのだ、どうして来たんだよ、と内心で骸を恨みながら、ヒバリさんの腕の中から出ようとするが、それをヒバリさんが許してくれる訳なく、体を震わせながら、ヒバリさんと骸の殺気を体で受けとめる

「おやおや、怖いですねぇ、雲雀恭弥」
「気安く僕の名を呼ぶな」
「クフフ、では綱吉君を僕に渡してください」

何でだよ、と内心ツッコミながら、この二人の喧嘩に入ってきた獄寺君達、「十代目を渡すか!」とか「ツナはオレのなのな〜♪」とか
獄寺君のはなんとなくわかる気がしたけど、あれ?可笑しいな、オレの頭が変なのか?山本が何かオレが聞いてはいけないような発言をしたような気が…

「ちょっと野球部、この子は僕の奥さんなんだから取らないでくれる!?」
「ははっ!人妻ってなんかいいよな♪」

奪いたくなるのな、なんて、マジで聞いてはいけない台詞が聞こえた
獄寺君も「十代目はオレの嫁だ!」とか訳のわからない事言い出すし、ヒバリさんの奥さん…は…多分いつかならされるのだから、間違ってはいないだろうけど…

「お前らはバカか。ダメツナの夫はこのオレだけだぞ」

当たり前のように現れたオレの家庭教師様
どうして、オレとヒバリさんの優雅なティータイムを邪魔するんだ、というツッコミは、もうこいつらには意味をなさないことぐらい知ってるんだ
今日はどんな喧嘩になるんだろうな、とヒバリさんの淹れた紅茶と用意されている高級菓子を食べながら、ヒバリさんの腕の中でオレは傍観者になる事を決めた

絶賛日参中な携帯サイトチェックメイトの龍鼓様からキリリクでいただきました!ヒバツナほのぼのギャグ!あーもう!大好きです!

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