ぱよぱよ
「あ…」
「お、都奈、久しぶり!」
にかっとディーノは笑ってひらひら手を振った。
「今日和、ディーノさん」
ふんにゃり微笑む都奈に、ディーノも一角のマフィアとも思えぬ笑顔をその甘い美貌に湛えた。
「…」
二人の造作に特に共通点は無いのだが、なんというか雰囲気がどこか似ている。
一応兄妹弟子ということになるからだろうか?
けれど、そんな彼等を繋ぐ師匠であるリボーンにそんな所は皆無であるから、微妙に謎だ。
あのクールな少年に師事するとこういう温和な性格が出来上がるという、科学変化でもあるのだろうか。
でも、アレもコレも割と生まれつきの性格だしな―――と、生まれながらと割と幼い頃からの付き合いの二人を、ザンザスはちょっぴり不思議に思い眺めた。
そして、ふいに気づく。
「おい…」
「はひ?」
ふとした疑問か声を掛けたザンザスに、ディーノと和やかに話していた都奈はこてっと首を傾げ応えた。
「何ですか?ザンザスさん?」
「どーした、ザンザス?」
揃って首を傾げる二人は容貌は似ていないが、やっぱりどこか似ていた。
「…お前、このカス馬の事は覚えてんのか?」
王子様ときゃいのきゃいの言って結構懐いていたから、その可能性も無きにしも非ずだが…と思っていると、都奈はきょとんと瞬いて。
「ふえ?」
意味を掴みかねて戸惑う都奈を傍ら、ディーノはぶはっと噴出した。
「うんにゃ!」
くつくつと肩を波打たせて、へなちょこから跳ね馬と呼ばれる様になった男は笑う。
「流石にちっさかったからな」
ディーノの言葉に、数秒考え、都奈は幼顔を引きつらせた。
「……でぃでぃでぃでぃーのさんも…」
おろおろ頭を抱える都奈に、そういうことかと二人の男は肯いた。納得と肯定で。
「ああ、コイツにも会ってんぞ」
「おう!」
幼かったからとはいえの、自分のお馬鹿ちゃんさがショックで、都奈はまたもや結構凹んだ。
「んー都奈と会った時かー?」
「たしか…リボーンに会いに来たんですよね…」
あれはリボーンが並盛は沢田家にやってきて、半年ほど経ったある日のことだったと、都奈は思い出し言った。
「……リボーンせんせーの恐怖の誕生日があっからな…」
ははは…と黄昏笑うディーノ青年。
うんうんと肯く都奈だが、ぶっちゃけ彼女はあのドS少年が弟子に与える恐怖の十分の一程しか経験していない。その辺は、やっぱり女の子であり、弟子とうより警護対象としての傾向が強い為だ。
「ワインとかスーツの生地とかいっぱい来て、あの時はびっくりしました。あと、テイラーさん?まで来てたし」
「いや、あいつスーツはオーダーメイドしか認めねーだろ?そのくせ一番身体つき変わる年頃だしよ。だから、作り手連れてくのが一番手っ取り早いんじゃねーかなーって」
「…」
やらかしたかと、何だかんだ言ってお坊ちゃん育ちで常識の斜めった幼馴染の無茶行動に、これまた坊ちゃん育ちだが、こなたは一般常識も一応は承知しているザンザスは溜息を吐いた。
「あの時は、ついでにってフゥちゃんのだけでなく、私も母さんもツーピース作って貰っちゃったんですよねー、ありがとうございましたー」
「いやいや、折角だったしよ。どーせなら、もっとちゃんとレディース向けの生地も用意しといたらよかったんだけどな」
のほほんな二人のほよよんな会話に混じることは無理で、ザンザスはずずっとエスプレッソを啜ることしか出来なかった。
愛銃片手に、「オレ様への挨拶をおろそかにするとは、この駄馬が」と恐怖の家庭教師様が乱入して、このぱよぱよと小花でも飛んで居そうな空気に終止符が打たれるまで、残り十数分…
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雪月花
の雨里様からキリリクでいただきました。「どるちぇ(『雪月花』で連載中ザンツナ♀連載)設定でディーノさんとご対面」というリクエストでした。なんでだろう・・・ディーノさんと並ぶと女の子グループと同じぐらい和む・・・!(笑)。
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