※クロスオーバー注意








「何だ、あの機体は!」


ソレスタルビーイングがアフリカで武力介入をしているときのことだった。
地上に下りていたデュナメス、エクシア両機は思わず動きを止める。彼らの目の前に、突然見たことも無い機体が舞い降りた。ガンダムエクシア──刹那・F・セイエイの乗っている機体を後ろに庇うように、そのMSはCBの敵の前へと立ち塞がったかと思えば、目にも止まらぬ速さで腕、足を狙い、次々と戦闘不能にしていった。あまりにも手慣れた様子に、カメラで見ているのだろうプトレマイオス組みからも困惑したような声が漏れ聞こえている。
驚異的な強さだった。
それでも刹那やロックオンが手を出さなかったのは、彼の戦いが不死であることと、そしてCBに全く敵意を持っていなかったからだ。呆然と佇みながらも、その突然の襲撃者を観察する。

『刹那、知り合いか?』

その沈黙を先に破ったのはロックオンだった。

「分からないが、敵ではない‥‥と思う」

『‥ったく。とりあえず俺が引き離してやるから動くな。いいか、動くなよ!』

ロックオンが刹那の身を案じてその未知の機体とガンダムエクシアの間に弾を脅かし程度に撃ち込み、離れさせようとした。しかし、次の瞬間ロックオンは呆気に取られ、思わず呆然と口を開けた。
未知なるその機体のコックピットが開いたのだ。
そこから出てきたのは、亜麻色に琥珀の眼を持った、綺麗な少年。慣れた仕草でヘルメットを取った美少年は、にこりと優しげで穏やかな笑みを浮かべてその場を見渡す。そのあまりに戦場には似合わない笑みに息を呑む音がやけに響いた。
 しかしそんな様子に気が付きながらも反応する素振りを見せなかった少年は、ガンダムエクシア、引いては刹那・F・セイエイへ向けて、満面の笑みで言葉を紡いだ。

「やっと逢えたね、」

──ソラン。
ロックオンはその単語が分からず眉を顰めるが、刹那はその言葉に反応したようだった。やがて、驚きに瞠られた瞳に感情が宿る。

「キ、ラ‥?」

名を呼ばれた少年は、それはそれは嬉しそうに、花が綻ぶように微笑んだ。




ソレスタルビーイングの面々が呆然と、しかし警戒を滲ませながらそのMSから出てきた人物をじっと観察する。そんな様子に反して、何の警戒もみせずに刹那はヘルメットを装着したままの謎の人物に歩み寄った。驚きと訝しみ、そして心配の声がかかる。

「おいおい、」

「‥知り合いなの、刹那?」

「刹那っ!」

刹那は何も答えず、そのまま無言で謎の彼の前に来て立ち止った。一瞬静けさに包まれた場を引き裂いたのは、CBの彼らにとって聞き覚えのない柔らかな声──名も知らない人物が微笑む。亜麻色の髪がさらりと揺れて、綺麗な琥珀色の瞳が優しげに刹那を見つめて細められた。いつの間にかヘルメットを脱いでいた彼は刹那と同年代のように見えるが、その穏やかさから年上にも見える。ロックオンは見るのは二度目となるその顔をじっと観察していた。

「刹那!」

そう言うと彼は刹那に抱きついた。
スメラギたちはその突然の行動に、刹那の「俺に触れるな」を無意識に予想するが、しかし何秒待ってもそれが起こらない。どうしたのかと流石に訝しんで来た頃、彼らは目を見開いた。
そこには、小さく笑みを浮かべる刹那の姿があった。

「キラ」

「うん、刹那。約束、守りに来たよ」

「そうか」

「うん」

「‥‥ありがとう」

「っ、うん!!」

礼を言った刹那は、ロックオンの横以外で見かけることのない穏やかな笑みを浮かべていた。
そんな刹那を見るのはとても珍しい。スメラギはちらりとCBのスナイパーに目をやり、予想通りの表情をしている男に思わず笑ってしまった。謎の人物がCBのプトレマイオスに入ってきていて、いくら刹那と知り合いだろうと何の情報もない人物がここまで近くにいて問題ないはずがなく、笑っている場合でないと分かってはいても、それくらいに男の拗ねたような怒ったような嬉しいような、自分でもどんな表情をすれば良いのかよく分からない顔は見ものだった。

「ロックオン、ぼやぼやしてると取られちゃうわよー?」

「‥ミス・スメラギ」

「ふふ。冗談よ、やぁね」

一通りそのいつもは先頭にたち頼れるリーダー的存在をからかい終えると、スメラギはふっと笑みを引っ込めて刹那を見やる。

「さて、刹那。説明してくれるかしら?」

スメラギとて刹那を信用していないわけでは決してない。ないが、この状況には十分な説明が不可欠なことは明らかだった。それを受けて小さく頷いた刹那は、少年の背を押す。それに促されて、少年はにこやかに微笑んだ。

「はじめまして、CBの皆さん。新しくガンダムマイスターとなるキラ・ヤマトです。僕は貴方がたの掲げる戦争根絶を支持します」

そこで一度切ったキラは、ふっと空を見上げてそのまま視線をCBに戻す。

「5人目のガンダムマイスターだと? そんな馬鹿な‥!」

訝しげにする中性的な男に構うことなく、キラは口を開いた。



「世界を敵に回す覚悟なら、とうの昔に出来ています」





全てを手に入れる神になった
title by mutti

絶賛日参中な携帯サイト純恋のria様宅の十万打企画のフリリクに参加させていただきました!以前ちょっと書かれていたキラ(@ガン種)と刹那(@だぶるお)なお話の続きを・・・!とお願いしたらこんなんでましたGJ素敵!大好きです!

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