非凡な朝、おはよう

「やぁ、私の愛しいルルーシュ。今日も最高に可愛いね」

「とてつもない御挨拶ありがとうございます、シュナイゼル兄上。ではこれで……」


──ばたん。

瞬時に鍵を閉めて、深く息をはく。そして自己暗示。今俺は何も見なかった何も見なかった。今日もいつも通りに、平和な朝だ。


「ルルーシュ様、朝食の御用意が出来ました」

「あぁすまない、今行くよ」


咲世子さんが俺を呼んでいる。
今日ナナリーは中等部のイベントとやらで家を早く出て、実質今クラブハウスの中にいるのは咲世子さん含め数人の使用人と俺一人。本当はナナリーを連れて行きたかったが、友達が迎えにきたとなっては仕方がない事だった。寂しいと感じるのは確かだが、友達ができたというのは喜ぶべき事だろう。

さて、朝食を頂こうか、


「──やぁルルーシュ、先に頂いているよ」

「……………、」


せっかくかけた自己暗示が瞬時に解けてしまった。
目の前には信じられない、否、信じたくない人物がいる。
しかも、俺と同じ朝食のメニューをごく当たり前のように、食している。


「……咲世子さん、何故おもてなししてるんですか」

「すみません、ルルーシュ様の一番大切な方とお聞きしましたので」

「兄上ええぇ!!!!」


勝手に俺の一番大切を名乗るなんて(しかも咲世子さんそれで納得するなんて)、兄上は一体何をお考えなんだ。
仮にも一大国の将来を約束された身でありながら、こんな場所に足を運ぶなどと有り得ない。


「ルルーシュ、とりあえず朝食を取りなさい。こんなに細くては誰かに襲われた時に困るよ」

「さり気なく腰を触らないで下さい!第一、俺なんか襲う人いません!」

「私は常に君を襲ってしまいたいと、思っているよ?」

「っ、朝からそんな爽やか笑顔でなに口走ってるんですか兄上は……!」


全く有り得ない。
俺の予定では、今日の朝も平和なはずだった。

もはや、逃げ道はないだろう。
促されるまま、俺はいつもの席──兄上の正面に渋々ながらに座った。


「……兄上、真剣に聞きますが何をしに来たんですか」


まさか、本当に俺を襲いに来た訳ではないだろうな?
そんな警戒心を持ちながら、俺はパンを頬張りつつ兄上の目を真っ直ぐに見つめる。目は口ほどにものを云う、と日本のことわざを思い出した。


「…突然ですまなかったね、ルルーシュ。私は、ただ君と食事をしたかっただけなんだ」

「、」

「君がいなくなってからというもの、なんだか食卓が寂しく感じてしまってね…。だから、朝食の僅かな時間だけでも君と共有したいと思ったのだよ」

「あにう、え」


──ずきり。

何故だか胸が痛んだ。
見つめた先の、兄上の瞳が本当に寂しそうに細められて。
あぁ、俺はこの人を一人にしてきてしまったのか、と罪悪感が芽生える。

本当は俺も、ナナリーと二人だけの食卓が寂しく感じてしまう時があった。ナナリーがいるだけで俺は幸せだと思う。だが、二人だけじゃなくて、ユフィやコーネリア姉上、クロヴィス兄さん、シュナイゼル兄上とも一緒に食事がしたい。そう考える時も、確かにあった。

なら、いいじゃないか。
兄上がわざわざ訪問してくれた、それで。


「あの、シュナイゼ」

「それにねルルーシュ、寝起きのまだ覚醒しきっていないぽやぽやした君は襲いやすいと考えたんだ」



…………は?


「──なる程。やはりそういう事だったんですか」

「、どうしたんだいルルーシュ。フォークなんか持って危ないよ」

「っ、ブリタニアめ───!」

「え、ちょ、ルル、ルルーシュううぅ!!!!?」





──あぁ、明日は平和な朝を迎えたい。
切実に。









非凡な朝、おはよう


(叫び声が聞こえて、急いで駆けつけました所ルルーシュ様がフォークを振りかざしていらっしゃったので、私はそれを止めました。ルルーシュ様は力が皆無なのですぐに止める事が出来ましたが。兄弟仲が本当によろしい様で、少し、羨ましいと思ってしまいました。某使用人Sの日記より抜粋)

日参している携帯サイトMs.flangeの蒼木ユキコ様から!キリバン踏んづけ記念!(笑)。ブラコンシュナ様→ルルーシュ(あくまでも一方通行)をリクエストさせていただいたのです!素敵なのです!ビバ☆ブラコンシュナ様!(爆笑)。

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