「決まらない…どうしたらいいんだヴェーダ…」
ティエリアは部屋で悩んでいた。
刹那をデートに誘ったはいいが、当日の朝になって何を着て行くか決まらないのだ。
あまりに遅いため、刹那が部屋まで様子を見に来た。(普通は誘ったティエリアが迎えに行くべきだ)
刹「ティエリア」
テ「刹那…」
刹「早く着替えろ。遅れるぞ」
テ「だが…」
遊園地に行きたいと言ったのは刹那である。
遅くなって混むのは嫌なためティエリアを急かすが、どうして着替えないのか気付いた。
刹「…いつもの服が一番似合っている」
テ「刹那…!!」
こんな刹那の一言で高速でいつものピンクカーディガンを羽織った単純なティエリアだった。
*****
in遊園地
二人は仲良くアトラクションを回っていた。
それをこっそり…いや真後ろから堂々と見ている金髪の影がある。
グ「離せカタギリ!!私は行く!!」
ビ「やめなさいグラハげふぁッ!!!!」
ロ「何だ!?」
ア「あ、ユニオン!」
二人のデートが上手くいくようにと見守っていたロックオンとアレルヤの目の前でグラハムに殴られるパッツン。
もといビリー・カタギリ、グラハムのカウンターパンチにより撃沈。
ロ「あいつ刹那を狙ってた奴じゃないか!?」
ア「とめなきゃ、ロックオン!!」
ロ「あぁ!やめろこの変態ッ!!!!」
立ちはだかるロックオンとアレルヤの元に突き進むグラハム。
その目は野性の本能に満ちていた。
その目に二人は少し後ずさった。
グ「私を止められるのは少年だけだァァァ!!」
ロア「「う、うわぁぁぁぁぁ!!!!」」
ロックオンとアレルヤを次々と沈め二人の元へ走るグラハムの前に立ちはだかる一つの影。
アレルヤの片割れ、ハレルヤだ。
ハ「お前ごときに俺様が倒せると思うなよ、ハッハァ!!!!」
ハレルヤ vs グラハムの戦いがここに勃発。
(例の喧嘩番長再び)
ハレルヤは恨みを晴らさんとグラハムをぶちのめす気満々だ。
ハ「メガネと刹那がデートっつうのは気にくわねぇがテメーの方がもっと気にくわねぇ!!あの時の借り、1000倍にして返してやるぜッ!!!!」
グ「言語道断!!!!刹那は私のものだッ!!!!」
ハ「人の話聞けよ!!」
二人が例のハム先生と喧嘩番長のごとく衝突している(今回はハレルヤが優勢)とき、ティエリアと刹那は…
テ「刹那、次は何に乗るんだ?」
刹「ジェットコースター!」
テ「…もう10回も乗っただろう?」
刹「まだ8回だ!」
テ「俺としてはメリーゴーランドか観覧車がオススメだ。…メリーゴーランドに乗る刹那…ブフッ(鼻血)」
脳内でメリーゴーランドに乗る刹那を想像して鼻血を出すティエリア。
ちょっと…というかかなり危ない。
刹那はそんなティエリアを気にすることなく突拍子もないことを聞いてきた。
刹「そのメリーゴーランドとやらは時速何kmまで出るんだ?」
テ「時速…?」
刹「あの馬は遅いからいやだ!それよりジェットコースター!!」
刹那達はいつもガンダムに乗っているのだ。
どうやらメリーゴーランドごときじゃ満足出来ないらしい。
テ「…観覧車はどうだ?高いぞ」
刹「観覧車は最後に乗るからまだいい」
テ「(刹那…そんなに俺と…!!)分かった。ジェットコースターにしよう」
ラブラブだった。
そして刹那は絶叫系が大好きなようだ。
一方ハレルヤとグラハムの戦いは…
ハ「ハッ、ユニオンの軍人もたいしたことねーなァ!」
グ「くっ…何故それを…」
ハ「さっき『フラッグの力を見るがいい!!』とか言ってたじゃねーか。ここユニオン領だし」
グ「む、無念…!!」
ハレルヤから受けた攻撃が余程きいたのか、グラハムは唯一の取り柄と言える顔を地面に打ち付けながら倒れた。
返事がない、ただの屍のようだ。
ハ「だぁーんだだーん!さーて、俺様は刹那をいただきに…」
ア「ダメだよハレルヤ!!」がしっ
ロ「邪魔しなさんなって!」
お約束の音楽を口ずさみながら二人の元へ向かおうとしたハレルヤを、いつの間に回復したのかロックオンとアレルヤが止めた。
ハ「離せぇ!!刹那は俺のモノなんだよォォ!!!!」
ロ「駄々こねんな!いくつだお前!!」
ア「ハレルヤ、ごめん!」
――ガッ!!!!
アレルヤはハレルヤに手刀をかました。
たとえ片割れといえど容赦はない。
ア「はぁ…二人のデートを見守るのも大変だよ」
ロ「仕方ねーよ、可愛い刹那のためだ」
二人が溜め息をついたのは言うまでもない。
ビ「うちのバカが迷惑かけたね…」
ロ「いやいやお互い様ですから」
ア「邪魔者はそろそろおいとましますか」
ロ「そうだな」
ビ「じゃあ僕もこれで」
ア「お大事に…」
ハムとハレを回収した両チームは二人のデートが上手くいくよう祈って遊園地から退散した。
*****
テ「フン、バレバレだ」
刹「なんだ?」
テ「いや、独り言だ」
後で褒美をやろう…と呟くティエリア。
どうやらティエリアはグラハム達が見ていたことに気付いていたようだ。
テ「(いざとなったら刹那を守るのは俺しかいないからな…あいつらもたまには役に立つな)」
刹「もう観覧車行く?」
テ「そうだな…もう少しお前といたいんだが」
刹「!!」 ボッ
ど赤面する刹那。
実は直球な言葉に弱く、いつものポーカーフェイスが保てないのだ。
テ「嫌か?」
刹「…」ふるふる
首を振る刹那。
極度に照れると喋れなくなるようだ。
テ「じゃあ行こう」
刹「…」 こくん
やっとの思いで頷いた刹那の手を引き、ティエリアは観覧車を目指した。
恋人繋ぎで少しゆっくりした後、観覧車に乗ってより親密になった二人なのでした。
OMAKE☆
テ「やる。土産だ」
ア「ティエリアが!?」
ロ「明日は槍が降るぞ!!」
テ「そんなに宇宙の塵となりたいか」
ロ「いや、ありがとなティエリア!」
ア「うん、ありがとう!」
テ「フン」
がさがさと包みを開ける二人。
その喜びは与えた本人によって一気に突き落とされる。
ロア「………」
テ「喜べ、選んだのは刹那だ」
ア「う、嬉しいような悲しいような…」
ロ「いや、コレはねぇだろ…」
二人の手には某ネズミのマスコットの耳付きカチューシャ(ロク♂、アレ♀)が握られていた。
選んだのが刹那ということは嬉しいが…
ア「(せめてオスがよかったよ…)」
ロ「俺達がコレつけて歩いてたら痛いだろ!」
テ「安心しろ。今にそんなことを言えなくなる。刹那ー!」
ニヤリと不敵に笑うティエリア、何か企みがあるのか刹那を呼んだ。
刹「呼んだか」
ロア「!!?!?」
テ「どうだ」
なんと刹那の頭には真っ白なネコミミがついていた。(つまりマ○ーちゃんのカチューシャ)
しかも刹那はそのカチューシャを気に入っているようだ。
ロ「かっかわっ…!!」
ア「かわいいー刹那!!どうしたのそれ!!」
抱き着こうとしたアレルヤを、ティエリアが刹那の肩を抱いてかわす。
テ「お触り厳禁だ」
刹「ティエリアが買ってくれた。 …変か?」
きょとん、と首をかしげる刹那。
それを見て悶えるロックオン、片手にはミミ付きカチューシャ。
先程自分で痛いとか言っていたのに、既にその状況になっていることに気付いてない。
ちなみにアレルヤはもう装着済みだ。
いやに似合っているのが何だか嫌だとティエリアは思った。
一人考察していると腕の中の刹那がこちらを見上げてきた。
刹「ティエリア、変か?」
テ「いや、よく似合っている(上目遣い万歳!!)」
刹「!!」 ボッ
その日以降しばらく、艦内でマイスター(ティエリア以外)の耳付き姿が見られたのだった。