お料理行進曲









「レイフォン……お願いがあるのっ!!」

「はぁ……?」

ことん。と首を傾げたレイフォン。目の前には同僚であるカウンティアがぱしん。と手を合わせて頭を下げている。
「どうかしたんですか?カウンティアさん…??」
「あのね………………」
視線をうろうろとさせながら頬をほんのりと染めてぼそぼそとレイフォンの耳元で囁くカウンティア。その言葉にレイフォンはふにゃんと笑って一つ頷いた。
「いいですよ?お安い御用です。僕でよければ……」
「レイフォンありがとーーーっっ!!」
ぎゅぅぅっ!と抱きしめられ、レイフォンがわわ…っと悲鳴をあげる。
その後、カウンティアと日取りの打ち合わせをしてその日はお開きとなった。
二人のやり取りを物陰から見ていた人物がニヤ…と笑っていたのに気付かずに……




「で、なんでいらっしゃるんですか??」

レイフォンが増えている生徒にことりと首を傾げた。
目の前にはにっこにっこと笑う上司と、その小脇に抱えられぐったりしている同僚。そして……
「リーリン……なんでいるの?」
「シノーラさんに無理やり……」
しのーらさん??とさらに首を傾げれば、隣でくぃくぃと自身を指差していらっしゃる女王陛下、アルシェイラ・アルモニス様。
「シノーラ・アレイスラといいまっす!!」
「はぁ………??」
そういう設定なのかな??とレイフォンは頷いておいた。素晴らしき処世術である。その名を別名流されると言う。
「えぇと……シノーラさ……ん??はどうしてここに??」
「なんだか面白げなことを小耳に挟んだので、参加させてもらおうと」
隣で羞恥にぷるぷるしているカウンティアを見てパチン。と片目を閉じる女王陛下。
「くそくそくそくそ……」
レイフォンは無慈悲な女王の小脇から流れてくる呪詛に捕獲されたんだな…とだいたいの事情を察した。
「えっと………カウンティアさん…いいですか…??」
「あたしたちに拒否権なんてあるわけないじゃん……」

ですよね。とレイフォンは一つ頷いて突如増えた生徒二人と先生一人にぺっこりと頭を下げたのだった。

「えぇと、ではさっそく……」
「ちょっと待った!れーちゃん!!ダメよ?そんな可愛くないエプロンしてちゃ!!」

最初から話がずれ込んだ。
「??いつも院でしてるやつなんですけど……」
黒い腰から下のエプロンにアルシェイラが難癖をつける。
「シノーラさんも思います!?アレ、父さんの修練着の切れ端で作ったやつなんですよ!?」
なんとそこに幼馴染が乗っかってくれた。
「可愛くないですよね!!」
「可愛くないわ!!」
「まぁ、確かに……」
「可愛くないな」
「別にいらなくないですか?可愛さとか……」
レイフォンがげっそりとそう言えば、ぶぅぶぅと上がる非難の山。
「だめよ!!れーちゃん!!」
「そうよ!レイフォン!!」
「ダメに決まってるじゃない!!」
「馬鹿か。ダメだろ」
満場一致でレイフォンの訴えは否決された。

「えぇぇぇええ………」

そして取り出されたのはふりっふりのエプロン。まるで新婚さんがつけるかのようなそれにレイフォンは心底嫌そうな声をあげる。
「似合いませんよー。嫌ですよー。動きにくそう……」
ふるふるふる…と首を振って嫌がるレイフォン。しかし、そんな彼女に忍び寄る影が…
「ダメよ?れーちゃん??」
着なさい?にっこりと笑ったその顔は女王陛下のものでした。とレイフォンは後に語った。

「う〜ん……なんか…物足りないわよねぇ…?」

嫌々着せられたそれにレイフォンはしくしくと項垂れる。
「ほらー。似合わないんじゃないですか…脱いでも…」
「ダメ」
「ダメよ?れーちゃん」
「ダメに決まってるだろアホ」
「アホって酷いんじゃない?でもダメよ?」
「うーっ!!」
レイフォンは子猫のように威嚇したがそれぞれに撫でられて終わってしまった。

「あ!!ナルホド!!」

アルシェイラがぽん!と手を打つ。そして、レイフォンの裾からするりと手を入れた。
「ひわぁっ!?な、なにすんですか!?や、ちょっと…やめ……!」
ごそごそと胸元を怪しく這い回る女王の手。
薄いヴォルフシュテインの修練着とエプロンではくっきりとその手の動きが窺え、3人はドキドキとそれを見守っている。
「とーれたっ!!」
する。と抜き出されたアルシェイラの手にはレイフォンがいつも身につけているプロテクター。
それを取り払うとぷるん。と揺れ、修練着とエプロンを押し上げる双丘。

「せ、セクハラーーーッッ」

レイフォンは叫んだが、やんやと喜ぶ三人の拍手とそれに答える女王にかき消されてしまった。

「うぅ……パワハラー……」

もちろん右に同じである。


「あうぅ……本当に始めます……」

「はーい先生!」
にっこーと笑う女王にレイフォンは泣きそうになる。
「えぇと……料理って言ってましたが、カウンティアさんは具体的に何が……??」
「その……リヴァースにおいしいものを食べさせてあげたいんだけど……」
「お菓子とか何か希望はありますか…?」
レイフォンが尋ねれば、カウンティアはうぅん…と唸る。
「お菓子作りはハードルが高そうだから……リヴァースは結構子供舌だから、オムライスとか、ハンバーグとか…??」
「あ、オムライスとかいいんじゃないですか?ケチャップでいろいろ書けますし…」
リーリンがアドバイスを出せば、ナルホド。とカウンティアが頷く。
「じゃあ、オムライスにしよっかな」
カウンティアがそう言えば、レイフォンは一つ頷いた。
「オムライスなら、そんなに難しくないですし、リヴァースさんもきっと喜んでくれますよ?」
そう言ってじゃあ、始めましょうか。と言ったレイフォンにカウンティアがはにかんで笑う。
可愛いなぁとレイフォンがほのぼのしていたが、少女らは「料理ができない」ということを甘く見ていた。 真に包丁を持ったことが無い人間がどういうものか、まずは「何」から教えなくてはならないかを………


「きゃーっ!?シノーラさんなんでそんなペースト状なんですか!?」
「え?だって細かくって今れーちゃんが……」
「やりすぎですーっ!!粒も見えないじゃないですか!!あぁ!しかもまな板も削って混ざってるーっ!?」
「うわわっ!カウンティアさん!卵は割るんですよー!?」
「え?だからこうして……」
「殻ごと真っ二つって意味じゃなかったんですーっ!!」
「「わーーーっっ!!バーメリンさんなんで鶏持ってるんですかーーっ!?」」
「コッケーーーッッ!!」
「だって鶏肉だろう?」
「「新鮮すぎますからーーっ!!入れないでーーっっ!!羽!はねーーっっ!!」」

カオスである。

レイフォンとリーリンは泣きそうになった。
どうにも根本から違いすぎる……
「わ、わかりました……」
「と、とりあえず見本見せます。見せますから!!」
レイフォンとリーリンはぐったりとしながら待ったをかけた。
とりあえずバーメリンからご存命の鶏を取り上げ、外に放す。ゴッケーーッッと言いながら元気に走り去って行くのを生暖かい笑みで見送りながら二人は長期戦を覚悟した。

オムライス一つってこんなに難しいもんだっけ…?とげっそりしながら。

「まずは、オムライスの中に入れるライスです」
「一般的にはチキンライスです」
「ぽろぽろにするためには昨日のあまりご飯とかがいいんですが、今日は無いので、炊きたてのご飯を代用します」
「ご飯を適量とって、冷蔵庫で冷まします。これで荒熱が取れてちょっとご飯が固くなるのでちょうど代用品になります」
代わる代わるそう言ってくるくると動く二人。
息ピッタリのその行動に3人はほぅ、と息をついた。
「ご飯を冷ましてる間に、チキンとたまねぎ、にんじんを切ります」
「ご飯と混ぜ合わせるので、混ぜやすいように小指の先くらいの大きさが目安です。ペースト状にしちゃうと歯ごたえがなくなっちゃうので注意です!」
リーリンがぴし!と一口コメントを入れる。アルシェイラははっはっはと笑った。目が泳いでいる。
「たまねぎは、こうしてまずスジを入れて、先のほうを少し残してバラバラにならないようにします。まずはこっちからやらないと繊維の方向で崩れちゃうので、こっちからスジを入れるようにしてくださいね?」
「で、次をこっちから切れば、自動的にほら、こうして……」
ちっちゃくなります。とリーリンが見本を見せる。
「おぉ!」
「なるほど〜!」
「…………レイフォン、泣くな」
バーメリンの言葉に二人がギョッとレイフォンを見る。
「い、いや、これは……」
「たまねぎは新しいととっても目に染みます!なので、ちょっと痛い思いをすることを覚悟してください」
リーリンがそう注意を入れる。かく言う彼女も少々涙目だった。
「そ、そうか……大丈夫か?レイフォン…」
「大丈夫ですよ?いつものことですし……」
苦笑してすみません。と言うレイフォンの頭を魔女が撫でる。ちょっとあまり見ない光景だ。

「次は、にんじんです。にんじんは皮を剥いて……いや、剥かなくても食べられるので、今日は剥きません!!」
「みじん切りにしちゃえば一緒だしね」
「………すみません、せんせー……」
「……ムリだクソ……」
「ごめん〜レイフォン〜……」
「ピーラーあればよかったんだけどね……」
「僕たちあれ使わないもんね……」
そう言ってまぁ、いいにんじんだし、大丈夫だよね?と言ってそのままざくざくとみじん切りにしていく。もちろん注釈つきで。
「次は炒めます。炒める順番は、何をいれるにしても固いものから!一般的には、地面の下にできるもの、地面の上にできるもの、その他となります。隣でレイフォンがお肉を小さく切っているので、その間ににんじんを炒めます!にんじんもたまねぎも地面の下ですが、たまねぎよりにんじんのほうが火の通りが悪いです。なので、一番はにんじんですね」
「お肉は、皮を剥ぐのが普通ですが、そんなことをするともったいないです。なので、まずは剥いだ皮をフライパンに入れて油を取ります。これで油が節約できます」
そう言ってレイフォンが隣から皮を放り込む。
何と言うか………倹約である。
「それで、お肉の切り方は………」

そうやって二人のお料理講座は進んでいった。
懇切丁寧な説明つきで。
真剣にメモを取って頷く三人。
彼女たちがこんなにマジメに物事に取り組んだのはもしかすると戦闘以外では初めてかもしれない。
いや、約一名は戦闘すら危ういが……
汚染獣と戦うよりも難しいなんて…とレイフォンは眉間を揉んだ。
基本、彼女は人に何かを教えるというのは苦手である。リーリンの補助があってこそ…と隣でてきぱきと動いている幼馴染に感謝の念を送る。しかし、相手は相手で大好きな幼馴染とのお料理教室開講を非常に楽しんでいたりした。
ちなみにお料理教室の会場は王宮の料理場。
よって、5人の行動は非常に目立っていた。
そして、そんな噂を聞きつけた男たちがぞろぞろと集まってくるのは自明の理。

ここに新たな問題が浮上しようとしていた……




「これがオムライスです」

「「「おぉ〜!!」」」

レイフォンが完成品をちょん。と三人に差し出す。
「レイフォンみたいに巻いたりするのもあるんですが、今回は半熟卵を上からかぶせる形にしようと思います!」
リーリンがこっちがかぶせたやつ。と言ってそっと三人に見せる。
「それでは……ん??」
レイフォンはそこでやっと違和感に気付いた。

「…………先生…サヴァリスさん…ほかの皆さんもそんなところでなにしてんですか??」

レイフォンがことり。と首を傾げる。
調理場のそこここに気配を殺して隠れている天剣の男性たち。
「クソへ……シノーラと何してるんだ馬鹿弟子」
「いやぁ、面白そうなことを小耳に挟んだからね」
「孫が心配でのぉ……」
「じーさん…ウソツケよ…」
「旨そうな匂いがしたからな」
「料理場が心配で心配で心配で……」
「てぃ、ティア…大丈夫?指とか怪我してない…??」
最後の1名が非常に癒される。
個性豊かな天剣の勢ぞろいにリーリンはあわわ…と目を白黒させた。

「りーちゃん、気にしなくていーわよ?リヴァース以外は所詮同じ穴の狢ばっかだから!」

アルシェイラがとてもイイ笑顔でそう言い切る。
確かに、そう言う男性陣の視線はレイフォン作のオムライスに釘付けだ。

「…………見本ですから、味見も兼ねて…た、べます…か?」

ちっちゃいですから一人一口くらいしかないですけど…
レイフォンがおずおずとそう申し出る。視線にいたたまれなくなったらしい。
「皆そんなにお腹減ってるのかな…?」
そう言ってそそ…と差し出したオムライスに天剣たちがギラン!と眼を輝かせた。

「あ!ば、馬鹿、れーちゃん……!」

アルシェイラがヒクク…と口元をひきつらせる。
慌てて後ろに引き寄せれば、天剣たちが思い思いに剄を爆発させた。
「うわぷっ!」
「うわわ…皆!!」
リヴァースが慌てて女性陣の盾になる。

「リヴァースさん…っ!」
「えぇ?す、すご……」
「リヴァース……っ!」
「あら、やるじゃない」
「ふん………」

5人が思い思いの感想を述べる。
その間にもリヴァースの向こうでは血で血を洗う争いが繰り広げられていた。

「いい加減引いたらどうだ?」
「皆さんこそ、ここは若い者に譲るべきじゃじゃいんですか、ねっ!」
「なんの。ここは老い先短い老いぼれに華を持たせるというものだろう」
「知るか。腹減った」
「てめぇら一人にいい思いさせてたまるかっての」
「お、おいお前たち!調理場が壊れ……」

約一名巻き込まれた感満載なのもいたが、6人揃いも揃ってぎゃーぎゃーと技をぶつけ合っている。
その中にちょこん。と鎮座しているレイフォンのオムライスはいっそ異様であった。
しかし、そんな激戦区にいて無事に済むはずも無く……

「むぅっ!?」

防戦一方だったカルヴァーンが体制を崩す。そして、切っ先でレイフォンの皿を引っ掛けた。

「「「「「あ……」」」」」

ひょろろろ…。綺麗な放物線を描いて宙を飛ぶオムライス。
本来ならば反応できたはずの女王や天剣たちもこれにはぽかん。と口をあけるしかない。

べしゃり。

太古から変わらずにある万有引力の法則にしたがってオムライスはべしょ。ぱりん。と地面にぶつかった。 黄色い卵と、オレンジ色のオムライス、割れた白い皿がなんともいえないコントラストを描いている。

「れ、れーちゃん………?」

アルシェイラが恐る恐るレイフォンに呼びかける。
レイフォンは見るも無残なオムライスをしばらく見ていたが、やがてかっくりと肩を落とした。

「ぼ、僕のオムライス……」

そりゃ、見本だったけど…もったいない……そう言ってしょんぼりと皿を拾い出すレイフォン。
その姿はまるで夫に虐げられた妻のようで……女性陣の庇護欲をバリバリと掻き毟った。
「あぁ〜ん〜たぁ〜たぁ〜ちぃぃいいっ!!」
「クソヤロウどもが…万死に値する!」
「リヴァース、ちょっと行ってくるね!」
「う、うん…ティア、怪我しないでね…?」
「レイフォン、大丈夫よ!また一緒に作ろ?ね!!」

一緒になって掃除を始めるリーリンが必死にレイフォンを宥めている。
美少女二人がしょんぼりとしている様は火に油を注いだ。

「「「コ・ロ・ス」」」

調理場の入り口に天剣の山が築かれた。




そしてしばらくして……

「さて、改めまして!!」
「できた〜〜〜っっ!!」
「ふむ……まぁ、なんとかなったじゃないか……」

にっこーと太陽のような後光を背負う三人。とは対照的に……

「お、終わった……」
「どうにかなった……」
「二人とも…本当にごめんねぇ…」

屍と化すレイフォンとリーリン。
真っ白に燃え尽きた二人に水を手渡しながらリヴァースが眉を下げる。
「い、いえ……」
「オヤクニタテテウレシイデス……」
そう言ってげっそりとする二人の前には見本品が二つ。
それを取り囲むように乱立する失敗作たち……

「なんで、消し炭みたいなのがあるんだろ…?」
「どうして紫色…??」
「あ、こっちはマーブルだ……」

最早記憶が曖昧である。
呼び起こさないためにも二人はそっと視線を外して視界からそれらを抹消した。
三人がそれぞれに手に持っているのは見た目少々崩れているが、何とか形になったオムライス。

「じゃあ、試食会始めましょうか!!」

ぽん!と手を打ってにっこーと笑うアルシェイラ。
別室用意したから〜と言って使用人にそれぞれのオムライスと、レイフォンとリーリンが作ったサイドメニューが運ばれていく。
因みにこれらは二人の現実逃避と余った食材を有効活用せねば!という貧乏根性の賜物である。

「にんじんのグラッセ、オニオンリング、鳥のから揚げ…本当に今すぐお嫁に欲しいわよね…」

女王陛下がぼそりと呟いたがそれを聞いたのは彼女と契約しているグレンダンのみだったとか…





「じゃあ、どうにかなったことへの勝利と、先生二人への感謝を込めて!!」

アルシェイラがそんなことを言って音頭を取る。
レイフォンとリーリンはその言葉に顔を見合わせて苦笑した。

「「「「「かんぱーいっ!!」」」」」

かちんっとグラスを合わせる音が響く。
それぞれが作ったオムライスをつつく。
「む…クソ旨い」
「あら、意外といける……」
「り、リヴァースどう……?」
「うん。おいしいよティア……」
「〜〜〜〜っ、リヴァースーーーっっ!!」

先生二人はそんな生徒達を見てほのぼのと笑った。
飲んで、食べてを繰り返していたが、はた。とアルシェイラが気付く。

「れーちゃん、そのエプロン気に入ったの?」

まだエプロンを外していないレイフォンに女王は首を傾げる。
レイフォンは真っ赤になってエプロンを握り締めた。

「だ、だって…僕、この下修練着ですから…っ!」

そう言って脱げるはずないです…と言うレイフォンに、アルシェイラはレイフォンの修練着を思い浮かべる。
そういえば、前開きの上着の下はぴったりとした黒のインナーだったな…と思い出し、もう一度レイフォンの姿を見る。
ふっくらとエプロンを押し上げるそれは、もちろん下に着ているものも押し上げているということで…

「やっばい、エロいかもしんない……」
「ぅ〜〜…プロテクター返してくださいよ〜!」
「ダ・メ」

レイフォンはその後エプロンを無理やり剥ぎ取られたとか取られなかったとか……




そして、会がお開きになった後、レイフォンはオムライスを持ってとことこと城の中を歩いていた。
やがて目に入った人物をみてとと…と近寄っていく。
「なんだい、レイフォン?」
「えぇと……その……カナリスさん、お疲れ様です」
「陛下と呼びなさい」
「う……す、すみません…アルシェイラ様…?えっとですね……」

これ、皆で作ったので、よければどうぞ?

そう言って差し出されたのはレイフォンがもう一つ作っておいたオムライス。

「〜〜〜〜〜っっ!!も、らっておく…!」

本日は大切な会議があったため人身御供として捧げられたカナリス。
周囲に取り繕うためにつん。と澄ました態度を取っているが、ぷるぷるしているその姿は寂しかったんだろうなぁとレイフォンに思わせた。
非常に哀れであり、レイフォンはこっそりとカナリスの分もオムライスを作成していた。
女王陛下に知られるとそれはそれで面倒そうだったからである。

「はい。お口に合えば嬉しいです」

ほにゃん。と笑ったレイフォンに目から塩水が流れそうになったと後日カナリスは語った。




一方……

「いたたた……ちょっと派手にやられすぎたかな…楽しかったけど…あぁ、でも……まぁ…」
青年の手の中にあるのは小型の映写機。

「イイモノが手に入ったから、レイフォンの手料理はまた今度にしようか……」

にぃ、と目を細めて、早速現像に出そう。と呟く戦闘狂。

勝者は誰?

日参している携帯サイト鴉の王冠のクロハネ様から10000ヒット記念リクでいただいたレギオス小説!「女性陣でギャグカウンティアさんがリヴァースさんにお料理作ってあげたいからとレイフォンに教えてくれと頼む。出来上がったレイフォンの料理を巡って男性陣(リヴァースさん除く)のバトル勃発(笑)。女性陣に全員排除されて女性陣(+リヴァースさん)でぷちパーティーオチ」という素晴らしく混沌(と書いてカオスと読む)ネタをこんなに素晴らしいもの仕上げてくださいました!!

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