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10月15日
風紀委員会会長殿
風紀委員会副会長　草壁　哲矢

調査報告書

並盛中学校1年A組在籍・沢田　綱吉の人物と日常生活に関する調査を以下の通り報告いたします。

記

本年9月7日、風紀委員会室への侵入集団の首魁と目される沢田　綱吉、およびその周囲への調査。

1．調査目的　同上

2.調査対象　沢田　綱吉及びその周辺人物

3.調査期間　9月10日～10月13日

4.調査方法　該当者への質疑応答、及び日常観察による

5.　4の沢田　綱吉の周辺人物への質疑の応答
質問内容
・沢田　綱吉の人となり
・沢田　綱吉に対する印象
・沢田　綱吉の普段の生活

・ああっ!?テメェどこのファミリーの手の者だっ!!?
…雲雀の部下？
…一昨日来やがれっッ（続行不可能）

・ツナか？ほや～んとぽわ～んとしてんなー。
もうちょっと飯食った方が良いと思うぜ

・沢田か？オレの命の恩人だ！
極限良い奴だぞ!!
普段か？朝と夕方のロードワーク中よく会うぞ！

・ツナさんはハルのラブリーエンジェルです!!
もうピュアピュアでキュートなのですっ！
獄寺さんとビアンキさんとリボーンちゃんとハルで守って差し上げなければならないんです!!
でも可愛いのにカッコいいのですっっ！
もうハルはツナさんにメロメロなのですっ!!
はひ、お休みの日とかですか？
ツナさんのお家で皆で集まってお勉強したり遊んだり、ツナさんのお母さんとかビアンキさんに教えていただいて、お料理やお菓子作りを一緒にしたりもします。
ランボちゃんとリボーンちゃんを連れて公園に行ったりもしますね。
あ、第三日曜日のハル感謝デーにも一緒にナミモリーヌに行きます!!
ツナさんはシュークリームとフルーツたっぷり系がお気に入りのようです。
そうそう、獄寺さんはUFOキャッチャーマスターなのです！
この間ハルとツナさんににゃんこの縫い包みをゲットしてくれました!!
白玉ちゃんとネーミングなされたにゃんこの縫い包みをハグしたツナさんは…もうっ…とってもラブリーでしたっ！
あのご様子を激写できなかったのは、ハル近来稀に見る不覚です!!

・あら～つーくんのお友達？
つーくんの普段の生活？
そうねー、最近はいいお友達が一杯出来たし、お外にもよく行くようになったわね。
好きなもの？
そうね～、甘いものとかのんびりとか日向ぼっことか好きよ

・おや、学ラン姿ということは…若き草壁氏ですか。
こんにちは。
どうなさいました？
え？
ボン…ツナさんのことですか？
そうですね、オレにとっては大恩ある人ですよ。
…幼かったオレにとってはあ…兄のような方でしたし。
…この頃の普段の生活というと、学校の他はリボーンとマンツーマンの授業をしたり…申し訳ないことにオレの世…
（直後煙幕が起こり消えてそれ以上は聞けず仕舞い）
・（先の青年が消えた直後何処からか現れた。取り合えず飴玉を与えてみると、機嫌よく質問に答えてくる）
ツナは弱虫泣き虫で弱々だから、強い男なランボさんが守ってやるんだじょ～。
ブドウのゼリーまた食べたいんだもんね、作れツナ～っ

・ツナの事？
そうね、優しい良い子よ。
さすがリボーンの教え子だわ。
とっても頑張ってきた子よ。
貴方、あの子の敵？
…あの子の敵なら……かっ食らわすわよ？

・ほぉぅ、雲雀の部下か。
ツナのこと？
そうだな、あいつはイタリアのとある名家の血筋でな。
それに関する諸々の事情からこのオレが家庭教師兼護衛として付く事になったんだぞ。
まあ、あいつの親父とも古い付き合いなもんでな、よくよく頼まれてんだ。
雲雀に言っとけ、これ以上知りたいなら、あいつと一生付き合う覚悟を決めてから、オレに直に聞きに来いってな。

6.　4の日常観察報告

朝五時四十五分前後、件の赤ん坊とジャージ姿で散歩に出る。
並盛神社までウォーキングし、境内でラジオ体操第一と第二をした後やや早足で帰宅。
途中でボクシング部の笹川と会ったり、農家の直売所で野菜を購入していく事もある。
七時頃家にたどり着く。

七時四十五分頃、同級の獄寺　隼人が迎えに来る。
獄寺とともに登校。
野球部の朝練が無い場合には同じく山本　武も随伴する模様。
概ね予鈴十五分前程に学校に着く。

授業は真面目に受けている。
成績は教科ごとに多少ムラはあるようだが概ね中ぐらいの様子、駄目ツナと綽名される程ではない。
体育は非常に苦手と思われる。
身体能力は女子の平均をも下回っている。

昼休みは獄寺、山本と共に屋上で過ごす。
雨天時は至る階段の躍り場に居た。
これから来る冬はおそらくその限りでないと思われる。
山本　武の証言によると、沢田の母堂はかなりの料理上手とのこと。

部活にも委員会にも所属していないため、放課後は屯する事無く獄寺と早々に帰宅する。
矢張り部活がない場合は山本も同行している。
掃除当番の場合には真面目に役割を果たしていた。
綺麗好きなようで、時折当番でなくともやっていることがある。
押し付けようとするものが居ると獄寺　隼人が暴れ出す。
止めるのには一苦労な模様。
下校時には家庭教師を自称する赤ん坊、または緑中女子が現れ共に帰宅する事がある。
寄り道する事無く帰宅。

成績が良く一人暮らしのため、獄寺　隼人は沢田の宿題と予習復習を見、夕食を食べていく事も多いらしい。
また、沢田宅に在住のビアンキが姉との縁もあってのこととも追記する。

五時三十分、または獄寺帰宅に合わせて夕方の散歩に出る。
朝とは違い三十分程で帰宅。

消灯は十時から十一時の間。

「ワオ、ストーカーしたんだね」
　させた本人がのたまわれた。
「で？」
「はい？」
　じぃっと見てくる視線に、草壁は暫しどう応えるべきか迷う。
「あの子には聞かなかったんだ」
　それをしたら身辺調査ではなくなる。ただの質問だ。
「…委員長が直接お聞きになられては？」
　質問なら寧ろその方がと草壁は控えめに言ってみた。
　ふむと頤に指をかけて考える素振りを見せるが、雲雀は溜め息をついた。
　秀麗な美貌に憂愁な表情がよく似合うが、残念なことにその中身は戦闘マニアである。
「でもあの子、僕が側に行くだけで挙動不審になるんだ」
　だから取り合えずそれを如何にかする為に、かの沢田の好きなものを突き止めて手懐ける足がかりにしようとした―――らしきことを雲雀は言う。

　調査報告書をパラパラめくりながら流し見た雲雀の手が、ある一枚で止まった。
　その目線が釘付けになったのはプロフィールで。
「……草壁、確かに僕は今日報告しろって言ったよ」
　月中日で切りも良かったので、確かに自分でそう命じた覚えがあった。
　だがしかし。
「…昨日、いや、二、三日前に報告しても良かったんじゃないかい？」
　雲雀にしては未練がましく言ってしまったのも無理はあるまい。
　八つ当たりに噛み殺された草壁少年は哀れであったが。

　沢田綱吉の生年月日の欄には、悲しいかな前日を示す数字が刻まれていた。

Ottobre 15