花一華
禁裏内でも最長老の一人である陰陽頭・浅蜊 九徳には二人の後継者候補が居る。
一人は庶出ながら嫡男たる斬。
今一人は年の離れた従弟である家光が一粒種である綱吉である。
今日も今日とて何故だか一緒に茶飲話する羽目になった雲雀は、こてっと首を傾げて言う。
「本当君の親とかって何考えてるんだろうね?」
そんなの綱吉が一番問いたい。
なのに元凶である駄目親父は諸国漫遊追儺の旅に出てしまっているし、ほややんな母親も当てにはならない。
九代目の爺様も「ごめんね」と苦笑するばかりで答えてはくれないし。
何故だかお目付け役である式神筆頭リボーンに日々ドツかれ膝を抱えてしくしく泣いてみたりしながら、どうにか過ごしている現状…
思い出させるような事、言わないで下さいと、検非違使別当雲雀 恭弥に潤んだ目で綱吉は訴える。
そんな綱吉には秘密があった。
強力な式神たちのお陰で追儺の術は兎も角として、陰陽師として重要である卜占の術などはかなり怪しいしと、自分でも十代目陰陽頭の地位を固辞し続けては居るが。
それもその筈、本来なら陰陽寮どころか内裏に籍を置くことすら許され得ない―――綱吉は、女として生を受けた子なのである。
「なっ、雲雀!貴様何つな様を泣かせていやがる!!」
「なっ、…本当です!許せませんっはるお塩持って来ます!!」
「おう、急いでくれ!!」
庭を眺めつつのんびりお茶もしていられないのかと、雲雀は顔を顰めた。
乳姉妹であったはやととはるの女房コンビの見事な連携に、綱吉はたははと笑うしかなかった。
「それじゃ、塩ぶちまけられる前に一先ず退散するね」
じゃあねと言って、ふわり数瞬綱吉に頬を寄せた彼は去っていく。
今宵また来るよ―――睦言の甘さで紡がれた言葉に、綱吉は頬が熱くなった頬を中々冷ませられなかった。
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雪月花
の雨里様からキリリクでいただきました。「青天(『雪月花』で連載中ヒバツナ♀連載)っぽい二人で陰陽師と式神パロ」というリクエストでした。リクとはちょっと違う感じでしたが、これはこれで・・・フフvv(←キモイ)。
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